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6.心の叫び!
ジャニス・ジョプリン / コズミック・ブルース
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vol.13 H14年2月号掲載
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I GOT DEM OL' KOZUMIC BLUES
AGAIN MAMA! / JANIS JOPLIN
Columbia / PC 9913
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心の叫び!・・・なんてカッコいい言葉だろう。
と同時に、なんてダサイ言葉なんだろう。
前号のこのコラム欄で、「そしてアメリカ
にも同じように虐げられてきた人達の心の
底からの叫びがあり…」なんてカッコつけ
て振ってしまったものだから、さあ大変!
ある程度書く事をイメージし、取り上げる
ミュージシャンも決めていたのだが、重い
…ん〜重い!なんて重いタイトルを付
けてしまったんだろう。
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編集部からは申し訳なさそうな口調ながらも催促の電話が入るし…
心の叫び!
こんな言葉を安易に、冷めた状態で使えば返って
安っぽく受け止められてしまう。
もっともある程度冷めた状態でなければ、
文章も書けないし、キーボードも打てない…。
しかし、今回はあえてこんな言葉を使ってみた。
それに相応しい、私の中で許せる人、
ジャニス・ジョプリンだ。
若く、好奇心旺盛だった頃、
聴く音楽全てが新しく、興味を持って聴けた。
ハード・ロックから、プログレッシブ・ロック、
ブリティッシュ・ブルース、黒人ブルースと聴いてゆき、
次第にドロドロの世界に嵌っていったが、
歌詞の意味も判らず、ブルース発祥の背景もよく知らないで、
う〜ん、この泣きのギターがカッコいいんだなあ!
この間の取り方、渋い声!たまんないなあ!
なんて、単純にフィーリングだけで聴いてきた私には、
ましてや学生時代、歴史が嫌いで、音楽にこだわっていた割には、
そのジャンルや歴史にはこだわらなかった私には、
ブルースのルーツを、
いや、音楽を評論家気取りで語る資格なんてないのだが、
ブルースはやっぱ黒人だよ!なんて判ったふりして
資料的な昔のレコードを買って聴いたりもした。
しかし、通になったような気分に浸る事はあっても、
サウンド・フィーリングに酔いしれる事はあっても、
奴隷として虐げられてきた黒人達の生活が
目に浮かぶ事はなかった。
単に歌詞の意味が判らないというだけではないだろう。
白人だってそのサウンドを継承し、発展させているんだから。
音楽を語る上で、そのルーツや時代背景は
欠かせない時もあるでしょう。
知り得た知識を人に話してみたくなる事もあります。
便宜上のジャンル分けも便利なものです。
しかし、それらは音楽を楽しむには必要ないでしょう。
少なくとも私にとっては…、
感性で受け止めるには…。
そんな時、出会ったのがジャニスの歌だ。
ラジオで「ジャニスの祈り」という、
いかにもという感じの邦題の曲を聴いたのは
彼女が27年という短い人生を閉じた後だった。
初めて買ったレコードは、ジャケットの渋さとブルースという
文字につられて「コズミック・ブルースを歌う」だった。
ジャニスは黒人ブルースでも白人ブルースでもなかった。
ジャニスの世界そのものだ。
あの、せっぱ詰まったように、
しゃがれ声をしぼり出して歌い、
語りかけてくるジャニスは、
時に振り切ろうとしても、
すがり付いてくるが如く訴えかけ、
時にこちらの心をえぐるかのように鋭く突き刺してくる。
その印象は、他のアルバムを、
特にライヴを聴くごとに増してくる。
ジャニスは、もはや一つの形容詞になっているのだろう。
そう思えば、○○のジャニスとか、ジャニスのように…
という文章を見ても苛立つことはないだろう。
ジャニス・ジョプリン…
私がリスナー人生を語る上で欠かせない一人だ。
次号へ続く
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