最近「シングルモルト」という言葉も随分とポピュラ
ーになりましたが、単一の蒸留所のモルトを指すその言
葉に対し、単一の樽から瓶詰めしたモルトを指す「シン
グルカスク」という言葉があります。
錬金術師が偶然見つけた酒の蒸留法、水に浸して発芽
した大麦を乾燥させるのにピート(泥炭)を使用したこと
によって薫煙香が付いたのも、密造者が蒸留した酒を隠
しておくのにシェリーの空き樽を使用した事による熟成
も偶然でした。そしてそれらの偶然は自然の恵みとも言
えるでしょう。
樽の材質や使用経歴は勿論の事、焼き方、サイズの違
いで熟成されるモルトの個性が違ってきます。そして樽
を寝かせておく場所も、貯蔵庫の入り口付近と奥の方と
では温度変化の度合いが違い、棚の上と下とでは気温も
湿度も違います。僅かな違いでも十何年、二十何年と熟
成するうちにそれぞれのモルトの個性として現れます。
そんなシングルカスクを飲む時、自然の恵みの有難み
を、ウイスキーの歴史とロマンを感じます。
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十六年目に入ったREMEMBERですが、今まで実に多
くのお客様に出会い、そしてスタッフとして巡り
会い、やがてお客様となった人達も大勢います。
先日も、数年前に県西部の実家に戻った元バイト
が、奥さんを連れ立って飲みに来てくれました。
バイト時に勤めていた車関係の会社から独立し、
家の近くに会社を設立するまでに至り、ようやく
ちゃんと挨拶をしに来る事が出来たそうです。
そういえば当店の元スタッフ、バーは勿論の事、
水道工事、印刷、塗装など、それぞれの業界で自
営で頑張っている人達が多いようです。
それぞれのスタッフがいた時代を想い出しながら
勇気付けられた一時でした。
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